呼吸法

呼吸法については、色々と言われています。焦っているときは深呼吸をして氣持ちを落ち着かせたほうがいいとか、胸式呼吸よりも腹式呼吸がいいとか。呼吸は浅いよりも深い方がいいとか。

呼吸が浅いとは、呼吸数が多くなって身体の隅々にまで吸った息が行き渡らない状態と考えています。私の場合、ゆっくり呼吸すると身体の細部にまで呼吸が伝わり、鎮まった状態になります。鎮まった状態ですと、深いところにある自分とゆっくり対話できるように思います。

私は本格的なヨガの修行をしたことがありませんが、本などで勉強した限りでは、ヨガでは呼吸をかなり意識的に制御し、究極的には無呼吸を目指しているようです。世俗的な欲を完全に滅しきり、解脱して神と一体になることを目指しているヨガですから、魂だけの存在が理想なのかもしれません。

他にも私が知っている呼吸法は次のようなものがあります。

自動炊飯器、低価格テレビ、自動ドアなど3000件以上の発明をした政木和三氏(故人)は、腹式呼吸法で脳波をシータ波にすると、インスピレーションが高まったと著書に書いておられます。その呼吸法は

 「七秒間で息をゆっくり吸い、それを下腹部に押し込み、おなかをふくれるようにして七秒間止めて、それからゆっくり七秒間で吐き出す」。

慣れてきたら、更にゆっくりと呼吸をし、最終的には1分間で一呼吸するぐらいになると、脳波がシータ波になるようです。

更に、スティーブ・ジョブズの愛読書だった「弓と禅」(1948年 オイゲン・ヘリゲル著)の中で、弓道の阿波研造師範は弟子のドイツ人哲学者のヘリゲルに、次のような呼吸法を教えています。

「息を吸い込んでから腹壁が適度に張るように、息をゆるやかに押し下げなさい。そこでしばらくの間息をぐっと止めるのです。それからできるだけゆっくりと一様に吐きなさい。

中略

この呼吸法によって、精神力の根源を見出すばかりでなく、この源泉が次第に豊富に流れ出して、力を抜けば抜くほどますます容易に四肢に注がれます」。

この二つの呼吸法は似ていますし、出所もそれなりに立派なので、私も自分なりにやってみました。しかし、、、、苦しい。。。。

呼吸をずっと意識していますので、吐きたいときに吐けないし、吸いたいときに吸えない。それを我慢しますので身体にストレスがかかって、喜びも楽しみもありません。息ぐらい自由にさせて欲しい。。。。そう思いました。

声楽家の大野先生は、呼吸について次のようにおっしゃっています。

「普通、呼吸法と呼ばれるものを実践すると、自分から始まる二元です。自然から始まる『一(いつ)』ではありません。ですから、いつもレッスンで呼吸法については何も言いません。呼吸が自然に帰ってくるのがいいんです。動物はみんな腹式呼吸です。人間だけが胸式呼吸になります。意識が先に動いて呼吸すると内面と連動しないので、呼吸が浅くなり胸式呼吸になります。解放されると自然に腹式呼吸になります。だからといって、方法論として腹式呼吸をしても解放されているわけでもないし、自然なわけでもありません」。

なるほど、解放され『一』になれば、自然に腹式呼吸になり呼吸が深くなるとのことです。深い呼吸をしたいとあれこれ意識すると、逆に呼吸は浅くなるとのお話は分かるのですが、では呼吸については何もしてはいけないのでしょうか?

あれこれ考えていた折に、カバラの先生の大橋和さんから呼吸について、次のようなお話を頂きました。今の私にとって、これが答えになっています。

「静かに目を閉じて、自分の自然な呼吸を見ていきましょう。プラーナと共に息を吸い、身体の中から不要になったものを吐き出しているのを感じます。不要になったものは植物に取り込まれ、また新鮮な空気になります。その循環を感じましょう。ご自身に自然な呼吸をすることを許しましょう。自分が自然な呼吸を許したときと、呼吸をコントロールしようとしたときの呼吸を比べてみて下さい」。

私はこの「自分に自然な呼吸を許す」という表現がとても好きになりました。身体のどこかにしろ、心の内のどこかにしろ無意識のうちに頑張っているところがあります。そこに意識を向けて緩めようとしても、中々見つかりません。でも本来の自分は、本当はどこにプラーナが必要なのか分かっています。意識から解放し、自分に自然な呼吸を許せば、必要なところに必要な癒やしが訪れます。浅い意識では認識出来なかったところにまでもです。そして、癒やされた自分を感じる。許し、委ね、感じる。

と、今回の結論がでました。このあたりで失礼します。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

内観共振法

Posted by amin_itsu