検証!小麦は身体に悪いのか
最近、小麦は日本人の身体によくないと言う話を良く耳にします。
21回のグランドスラム優勝を誇るテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手が、2010年に小麦の主要成分であるグルテン蛋白を断ってから、体調が回復し活躍できるようになったと言っています。パンやパスタ,ピザは言うに及ばず、天ぷら,お好み焼き,うどんなどの和食にも使われている小麦。小麦の一体何がどう悪いのでしょう?小麦の危険性を指摘する情報源をあちこちあたり、整理してみました。
【小麦を食べると腸に穴が空く??】
まずは薬学博士の生田哲先生のYoutube動画です。
説明の都合上、これからの話の順序は上野動画とは異なりますが、ご容赦下さい。また動画の内容を更に分かりやすくするため、別のサイトの内容も補助情報として使っています。
さてさて、パンを食べると下痢や腹痛を起こす病気をセリアック病と言います。誰もがこの病気にかかるわけではありませんが、体質によってはセリアック病になるようです。アメリカで調査したところ、0.75%の人がセリアック病に罹っていたようです。近代になってから小麦を摂り始めた日本人は、遺伝的に小麦に対する耐性が少ないと考えられますから、セリアック病になっている日本人は想像よりもはるかに多いかもしれません。
セリアック病が起きるメカニズムは
- 小麦に含まれるグルテンが分解されると小腸に穴を開ける分子が生成される。
- 小腸に穴があくと、本来入って来てはいけない大きな分子が体内に入る。
- 不要な大きな分子を排除するため、免疫が毒を出し、その毒が身体に様々な疾患を起こす。下痢や腹痛を起こすのは、小腸周辺で一番毒の濃度が高いから。
小腸に穴を開ける分子をグルテンペプチドと呼び、グルテンペプチドに感受性の高い人がセリアック病に掛かりやすいとのことです。また、小腸に穴が空いた状態をリーキーガット(Leaky Gut:漏れてる小腸)と呼びます。
簡単に言えば、小麦を食べると腸に穴が空いて病気になるってことです。ほんまかいな?とも思いますが、調べるとこれを裏付ける情報がたくさん出てくるんですよー。
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それではまず、正常な小腸はどのようになっているのでしょう?
腸壁の上皮細胞はタイトジャンクション(Tight Junction:TJ)で結ばれ、細胞間の隙間は吸収する栄養素によって変化しますが、通常10Å(Åはオングストローム:10Å=10-9m=1nm)程度で、正常な腸は細菌やウィルスを通しません。
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タイトジャンクションの大きさをウイルスや細菌と比較しますと下の図のようになります。ウィルスはタイトジャンクションの10倍以上であり、通常は腸壁を通り抜けないことが分かります。
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この不要な物質を寄せ付けないタイトジャンクションを、小麦の主要成分であるグルテンが緩ませるようです。
- グルテンが小腸内で分解され、グルテンペプチド(=グリアジン)になる
- グルテンペプチドが小腸の上皮細胞に結合する
- 上皮細胞がゾヌリンを分泌する
- ゾヌリンが上皮細胞に結合する
- 上皮細胞がタイトジャンクションを壊す
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荒っぽく言えば、グルテンペプチドが「あたしが入れなから、入り口を大きくしてよ!」とわがままを言うので腸が扉を開け、開いた途端にわぁーっとその他大勢の不純物が入るような感じですかね。
グルテンペプチドに対する感受性は個人差があるようですが、さほど感受性の高くない人でも、大量に小麦を食べるとタイトジャンクションが壊れ、リーキーガットを引き起こすようです。
リーキーガットになると、細菌や蛋白質などの大きな分子が体内に入って来ます。
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免疫は体内に入ってきた大きな分子を抗原(異物)と捉え、活性酸素による炎症を引き起こす蛋白質(図ではTNF、IN6など)を生成し攻撃をします。この炎症性蛋白質が全身を巡り、身体の様々な部位で炎症が起きます。
リーキーガットが原因で発生する病気は下の図のようなものがあるとのことです。このほかにも自己免疫疾患(たぶん免疫を教育する胸腺が損傷するのでしょう。私の想像ですが。。。)、一型糖尿病(膵臓のインシュリンを生成する機能が損傷)も発症するようです。
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このようにリーキーガットが原因であらゆる病気になります。リーキーガットにより関節炎や鬱を発症して病院に行っても、本当の原因なんて分かるはずないです。医者は抗炎症薬や抗うつ剤を対処療法的に処方するだけで、病気が根治するわけはなく、無駄にお金と保険料を使うだけです。
現代の小麦は1940~1960年に掛けて品種改良され、茎が短くて倒れにくく、穂へ栄養が集まるようになり、収穫量が増えました。この品種改良でグルテン蛋白が過剰に含まれるようになり、問題が大きくなったようです。
日本人の6割がリーキーガットであるとも言われており、その要因としては小麦以外にも「農薬、添加物、環境ホルモン、抗生剤、腸カビ、亜鉛やセレンの欠乏」などが指摘されています。
腸壁は門番のようなものです。必要なものは通すし、有害なものは中に入れない。リーキーガットは門番が壊されている状態です。グルテンはその大切な門番を壊している一因とのことです。そら小麦クンが悪いわなぁ。
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【グルテンは消化が悪い】
グルテンは固まりやすいので消化にエネルギーが必要となり、身体に負荷がかかって、代謝を阻害するとも言われています。でも、これはお餅もおなじかもしれません。お餅は腹持ちがいいと言われますが、固まっているので消化に時間がかかるからでしょう。お正月にお餅を食べるのは冬には農作業がなくゆっくり家の中で過ごせるので、消化の悪いお餅をたべる贅沢が許されたのではないでしょうか。あくまでも私の想像ですが。。。
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【小麦には中毒性がある】
小麦のグルテンは、胃では蛋白分解酵素でエクソルフィンに分解されます。このエクソルフィンが中毒性物質だそうです。アヘンなどの麻薬のように、中毒を起こす快楽報酬系という回路が働くようです。
- 脳・脊髄や末梢神経に存在するオピオイド受容体と中毒性物質が結合する
- 腹側被蓋野に集まるA10神経系が活性化する
- 快感をもたらすドーパミンを分泌する
- ドーパミンが側坐核を刺激して高揚感を促す
- 前頭前野で「またこの快感が欲しい」という情動を強める
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いわゆる麻薬と異なるのは幻覚や幻聴がなく、錯乱はしないとのこと。けど、中毒性はグルテンも麻薬も同程度とか。
でっかいクッキーの袋を開けてしまったが最後、無抵抗にぜーんぶ食べてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょう?私は何度もあります。もっと食べたいもっと食べたいと言う身体の欲求に抵抗できませんでした。
エクソルフィンは牛乳でも出るようです。牛乳はお腹が冷えるので、私の場合はさほど飲めませんでしたが。。。
小麦のグルテンは感受性の高い人にとってリーキーガットを誘発しやすいだけでなく、中毒性が高いので大量摂取を促し、少量のグルテンではリーキーガットを発症しない人の腸さえもこじ開けてしまう。これが小麦の恐ろしさのようです。
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いやー、小麦が身体に悪いとは信じられませんでしたが、調べれば出てくる出てくる。びっくりしました。それにしても食と健康について門外漢なので、調べ、学んだ内容を腑に落とすのに、えらい時間と労力が掛かってしまいましたー。書き始めたときは、ささっと書けるだろうって甘くみていたのですが、疑問が次から次へと湧いてきて、処理するのが大変でした。そのお陰で大変勉強になりました^^v
私はパスタもピザもうどんもそうめんも、そしてお好み焼きもたこ焼きも全部大好きです!!でも、食べると体力が消耗されて、気力が湧いてきません。しばらく小麦を断ってみようかなぁ。ご飯も大好きですしね!まぁ結局、何でも好きなんですが。。。
いつも最後までブログを読んで頂き、ありがとうございます。
それではまた!!
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